吹奏楽界を初心者として放浪する話。
「俺なんで、吹奏楽してるんだろう」って話をされた。
それで、自分もなぜ吹奏楽してるんだろう、となった。
自己紹介を兼ねつつ、ここで考えてみた。
小5で吹奏楽の世界に入り、かれこれ8年が過ぎた。
初めて触れた楽器はユーフォニアムだった。
今、ユーフォニアムを吹いている。
と言えば、ずっとユーフォを吹いてきて、きっとうまいんでしょ、ってなる。
結論から言うと初心者同然だ。
この8年間、吹奏楽の世界で初心者として放浪し続けてきた。
1年間ユーフォニアム、2年間トランペット、半年間ファゴット、1年半ホルン、3年間パーカッション、そしてまたユーフォニアム。
嗜む程度にトロンボーン。
親が転勤族で、こんな経歴になってしまった。ずっと初心者である。
時々聞かれることがある。同じ楽器をずっと続けるのと、色々な楽器を回るのと、どっちがいいか、と。
同じ楽器を続けるのがよい。
自分はそう答える。そう答えたことしかない。他人に自分と同じ道を歩むことを勧める気には微塵もならない。
やっぱり演奏がうまい方が楽しい。
胸を張って「これが吹ける!」っていう楽器があったほうが楽しい。
では、今までの吹奏楽人生に後悔してるか、と聞かれれば、
後悔はしている、そう答える。
後輩のほうが演奏が上手だった。1stは後輩担当だった。
吹奏楽歴が長いくせにずっと下手だった。だいたい2ndが担当だった。
ソロなんぞ吹けたもんじゃない。だいたい音域の壁にぶち当たる。
正直に言って、ずっと同じ楽器をしてる人がうらやましい。某吹奏楽小説の新刊に出てきた転入生など、環境も割と似ていて、究極の羨みの対象である。
でも、それでも自分の吹奏楽人生はよいものだ、とも思っている。
楽器を超えた演奏のコツを見つけたときの喜びは自分しか味わえないだろう。
「ド」が違う譜面に対応ができるのも、こんな境遇だからこそ、であろう。
吹けなかった高い音が吹ける、チューニングがぴったりあう、より小さい音が吹ける…
8年も経って、こんな些細な事で喜べるのは自分しかいないだろう。